著者からのメッセ−ジ

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「糖尿病を友として」「糖尿病と心の療法」の 

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8:患者の一言が石(医師)を動かす。

 2004年の6月頃から急激に食欲が減退して行きました。病状は「胃アトニー」だとは判りますが、何故急激に起きたのかは全く予測することが出来ません。胃アトニーは10年位前から良くなったり悪くなったりを繰り返しており、この間にも胃カメラの内視鏡検査を3度行っており、更に胃の消化機能の検査も2度行っております。

 昨年末に従来の病院から神経障害の深層解明のために、セカンドオピニオンとして大学病院の神経内科を紹介して頂き、1ヶ月入院いたしましたが結果は主治医教授の多忙から、未熟な助手が担当医となったことにより、投与された薬の副作用で違う形で異常が表れて来て、大変な騒動になり現状回復に長時間を要しました。

 然し、結果は悪いことばかりではありませんでした。複数の胃腸薬を服用していたのが整理されて1種類だけになりましたが、この効果かは不明ですがその頃から胃腸の調子が良くなり、日中でも空腹感から間食をするようになり、減少していた体重の増加が見られ喜んでおりました。

 このような状況下での出来事だったっただけに、主治医も原因が判らず治療薬の投与もない侭に月日が過ぎて行き、栄養不足に伴う低血糖症状の多発や体重の減少で、無気力と疲労感だけが日々襲って来ます。そこで支給されたのが栄養ドリンク250ml缶(250col)で、食事の採れない時に補足用に飲んでおりました。

 栄養ドリンクを飲用し始めて2ヶ月後の診療日に、現状の治療方法に不信感があり抜本的な治療方針を要望いたしました。この時に初めてまだ健康保険が利かない抗生剤の新薬が出ているが、これを投与することは病院側の負担になるが、臨床試験として試してみるのに良い機会かも知れないと言われました。

 私としては異議のあることではありませんので、即入院して経過観察を要請いたしました。2日後に入院しましたが経過観察には少なくても1週間以上は必要ですので、その間に神経障害の生理検査として心拍変動や、動脈硬化の検査にサーモグラフィー検査などを実施いたしました。 更に胸部CT撮影の終了後に、最後の胃カメラによる内視鏡検査となりました。

 ところがこの段階で主治医との意志の疎通が悪く、主治医は事前予約でないので時間的な調整は困難と判断し、午後にまで遅れることを予測していたようですが、私は夕食の残留物の有無を確認するための検査であれば、当然朝一番の検査が行われるものと思っておりました。

 当日、9時になっても10時になっても呼び出しがなく、苛立つ気持を静めながら時間を待ちましたが、11時半になり昼食時間の延長にも繋がりか影響しますので、担当看護師に連絡し時間は確認されているのかと聞きますと、全く此方からは確認しておらず生理検査室からの連絡待ちとのことです。

 これで私も堪忍袋の緒が切れて、「貴女はそれで自分の為すべき業務を忠実に実行していると思っているのか」と詰問しましたが、検査室の遅れはとは別の問題で事前に確認しておれば、私の検査の時間は十分予測された筈です。時間の繰り上げは不可能にしても心の準備は出来ます。この事を主治医が知っているのか確認するように要望しました。

 間もなく主治医が見えて事前に遅れることは知っていたそうで知らぬのは私だけです。これではインフーオムドコンセント(医師の説明と患者の了解)は正常に実施されておらず、時間の調整が困難で長時間空腹で居れば、それだけ消化時間が延びて自然消化し、薬の効果を確認出来ないのではないかと質問。私が事前に説明されていたら苦しい思いをして迄、この検査は受けなかったと抗議しました。

 12時半に漸く検査室から連絡があり行きましたが、今日の一番最後の患者でした。30分舌下麻酔のゼリーを塗られて待機してから検査ベットに乗りましたが、4度目の検査ですが矢張りカメラを喉から胃に飲み込む時の苦しさは異常です。今では鼻から抽入する胃カメラが開発されており、全く患者に負担を掛けず検査中の会話も出来るそうですが、此処はまだ導入されておりません。

 内視鏡は胃から小腸へと進み十二腸を通って大腸まで行きましたが、傍にあるモニターTVに映し出される自分の胃腸の内部を、観察している気分は複雑で不安と興味が混在しております。 前回の検査では胃壁の荒れが見られましたが、今回はどの個所にも異常は見られず非常に綺麗でした。当然残留物もなく検査技師からもお褒めを頂きました。

 検査の翌日、主治医が午前中の早い時間に来室しましたので、再びインフームドコンセントについて話し合いましたが、主治医から思いも掛けぬ言葉が出ました。『今回のことは貴方様に大変申し訳ないことをいたしました。今後二度と同じ誤りを犯すことなく十分教訓して行きたいと思っております』。

 この言葉を聞いて私は溜飲が下がったのではなく、逆に主治医とのコンセンサスが出来たことと、新たな信頼感が生まれたことに感謝いたしました。患者は自からを医療の中心に置いて、医師の言葉だけでなく患者の言葉との交流のなかで、自分が納得できる医療を受ける権利があります。これが実現されて初めて真の医療が始まるのだと私は信じております。

E-mail  takatetu3@ybb.ne.jp
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  糖尿病と心の療法  著者 高 橋 高


   

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