著者からのメッセ−ジ

ホームへ

「糖尿病を友として」「糖尿病と心の療法」の 

  著者からのメッセ−ジ

骨折で得た体験と教訓の報告(其の2)

最初に搬入された救急病院から、総合病院に転送され救急患者処置室に搬入され,直ちにレントゲン写真が撮られましたが、結果は先の救急病院で撮られたものと同じでした、傷病名は『右大腿骨頚部内側骨折』です。病室に移されてから主治医の意見書と共に、手術の同意書と説明書、及び輸血の説明書と同意書にHIV(エイズウイルス)感染検査同意書が渡され書名捺印をしました。

手術の説明書(同意書)には、麻酔のリスクは一般より高く、また感染・出血の可能性があり,更に大腿骨頚部の壊死の可能性がありますので、その時は再手術を行います。

麻酔の説明書(同意書)には、脊髄麻酔を行いますが場合によつては全身麻酔に変更することがあります。あなたの麻酔で問題になることは糖尿病・心疾患・血管の状態が悪く脳卒中や心筋梗塞の危険性があることです。

輸血療法の同意書には6項目の処置方法や危険性などが書かれており、「私は現在の治療にかんして上記の説明を受け、十分理解して輸血療法を受けることに同意いたします。」と書かれた文章に署名捺印です。HIV感染検査同意書は院内感染予防のための同意書ですので特に異議はありませんでした。

今回の入院で最も問題になったのが主治医の意見書です。その内容は「今回の手術では接合した頚部に壊死が起こる危険性は、早ければ数ヶ月、遅くても数年位で発生する可能性が高い。そのため手術後入院は1ケ月とする。その後はリハビリ・テーションに入居しリハビリを継続、状態が悪化進行した場合2〜3年後には、老人介護ホームへ転居が必要である」と書かれていることです。

この意見書には患者本人や家族の意見や同意が全く無いことです。このように病院側が引いたレールになぜ乗せられなければならないのか、在宅療法や在宅介護もあり家族が事前に、この療法を回避して主治医に提訴していたのなら話は別ですが、骨折の状態もわからず、その後の治療についても何の説明も受けていない状況で、患者の人権を無視した暴挙が許されるのか、一般社会の理念と医療社会の理念の相違を感じました。これは決して今回の特異現象ではありません。今迄も同様の状況に何度も直面しており、常に医療の在り方について疑念を持っております。

確かに大腿骨頚部骨折には、骨折線の局在が股関節の関節包の内側か外側により、『内側骨折と外側骨折』に分類されており、内側骨折は血行不良のため骨癒合不良が起こります。

この点外側骨折は血行が比較的良好なため骨癒合は良好です。各骨折型によって治療方法も異なります。内側骨折は第一選択として『人工骨頭置換術』が行われ、転位の少ないものには『観血的骨接合術』が行われます。外側骨折の場合は第一選択として『観血的骨接合術』が行われます。

私の骨折は『内側骨折』ですが、手術法は『観血骨接合術』で行われました。一般的には骨折部の骨のズレ方の程度や年齢、早期離床(寝たきり防止)などを参考にして患者本人と家族に、それぞれの手法の長所と短所を説明した上で、了解を得て手術が行われるべきものです。然し、私が受けたのは上記の意見書と手術の同意書で、突然の骨折事故で予備知識を全く持ってはおりませんでした。

『人工骨頭置換術』は壊死が元で骨頭が陥没変形した場合などに、大腿骨頭を切除してくさび形をした人工骨頭(チタン製)および半円球状のベアリングに置換する手術です。人工骨頭は大腿骨の骨髄に突き刺して固定します。

医師の多くは人工骨頭置換術を最後の手段と考えており、『骨頭回転切り術』などのように自骨を使って行う手術に比べて、過重を掛けられる時期が早いのがメリットですが、下記のようなデメリットもあります。勿論自分の骨がなくなると言うリスクを背負うので慎重な選択が必要です。

大腿骨頭壊死は骨が腐ってくる病気で、その結果股関節が痛む病気です。大腿骨頭壊死は病理学的には、大腿骨頭内の骨芽細胞や骨細胞が壊死し、その結果骨組織を維持していけなくなる状態です。大腿骨頭壊死以外に関節が痛む病気に変形性関節症と言う病気があります。

関節が変形して痛んでしまう変形性股関節症では、『人工関節置換術』が治療法のひとつとして選択されます。人工関節には大きく分けて痛んだ処だけ入れ替える『人工骨頭置換術』と、臼蓋と呼ばれる骨盤側も入れ替える『人工股関節置換術』があります。

私がこれ等の病理現象を知ったのは、この投稿メールを書くために学習した結果です。自分の病理現象を知らずに受ける治療ほど患者を不安に陥れることはありません。私が最初に訪れたのは医療ソーシャルワーカーの所です。

整形外科医の言われるリハビリーテーションの入居について質問しますと、当院にもリハビリテーションとして別院がありますが、入居希望者が多く数年待ちの状態です。近郊の病院にも設備を持っている所がありますが何処も入居待ちの状態で、自宅待機による訪問介護や訪問リハビリが必要ですとの説明でした。

何もリハビリ・テーションに入居しなくても、『訪問リハビリ』と言う制度があることを知りました。
訪問介護や訪問リハビリ等と組み合わせた、訪問介護サービスの法人組織ですが、最近各地に多く創設されておりその組織内容やサービスの充実が、今後生き残ることが出来るのかの分岐点になりそうです。リハビリの目的は『動きの障害』に対応して、患者の障害機能を改善し日常生活に支障の緩和の手助けをする義務があります。

疾病そのものが治癒するのであれば疾病を治すことが先決です。この段階では通常リハビリとは呼びませんが、リハビリ関係者は常にまず考えなければならないことです。機能障害の場合については、例えば関節が拘縮して硬い場合は関節可動域運動で引き延ばします。

その際に温熱の効果を利用するのがリハビリです。運動麻痺を少しでも回復させるために特定の肢位をとらせたり、筋肉の上の皮膚をこする促通と言う手技も重要なリハビリです。

大腿部頚部骨折は「寝たきり」の要因になり易く、そのため早期離床を目的としたリハビリが必要です。又、合併症として下肢の筋力低下、再骨折の危険性、脱臼発生の可能性があります。更に寝たきり老人の原因は大腿骨頚部骨折をはじめ骨折によるものが多く、これは老人性痴呆症と内臓衰弱を起こす要因となります。できるだけ早くベット上座位、更に早期起立および自力歩行を心掛けることが必要であると言われております。

昨年お世話になったケアマネジャーに連絡いたしますと、即日病院まで訪問して下さり状況を聞き取り、『訪問リハビリ』の件については信頼の出来る所を検索し、当方の条件(週に何回か・訪問時間帯・理学療法士の人間性等)についても十分配慮し満たしてくれる所を紹介して下さることになりました。又、住宅改造や介護補助具・リハビリ用具などについては、後日病院側の医療方針が確定してから、改めて検討することにしました。

早速、主治医に訪問リハビリの件について報告しますと、「それはよかった、入院期間を1ヶ月としているがリハビリによる体力の回復状況を見て1ヶ月半位にしますか」と、いとも簡単に了承されたことに、私はニの句も告げることが出来ずにただ唖然としておりました。

最初の意見書はいったい何だったのか、傷病から判断してリハビリ・テーション入居から、老人介護ホームでの生活を指示したのではないですか?、それがまだ数日もしないうちに在宅リハビリを容認する、医療方針の豹変ぶりには医師を信頼する気力もなくなりました。

手術後5日してリハビリが開始されました。最初はマットの上で関節部の屈伸など療法士の手による療法から入りましたが、二日目に療法が終わって起きあがると眩暈が起こり療法士が血圧を測定しますと、収縮期血圧(最高)が60Hg台しかありません。平常時の血圧は120Hg前後です。時々100Hgを切ることはありますが、自律性神経障害による起立性低血圧の病状を持ってり、その発作が起きたと思いました。然し、それから三日続いて同じ様に発作が起こり、発生状態が異常であることに私も療法士も気が付きました。これでは何時迄達ても歩行訓練は出来ません。

翌日、療法士にリハビリの最初に歩行訓練を始めてみてはと提言しますと、療法士はこれは発想の転換ですね、私達では気が付かないことですと言われました。

歩行訓練は歩行器を使用して歩くことから始まりました。最初は手術した右足に痛みが起こると思いましたが、心配した程の刺激はなく容易に歩くことが出来ました。起立性低血圧の発作の心配もいらず、この選択は正しいかったと思いました。

然し、判断は甘く二日目に歩行器で20mほど歩いた時に、急に息苦しくなり目の前が白くぼやけて来ました。療法士は慌てて椅子に座らせて血圧測定をしますと、起立性低血圧発症の時と同じ様に最高値が60台です。

低血圧でみられる症状として急に立ち上がった時に起こる『立ち眩み』があります。これは下半身に血液が溜まって脳を流れる血液が少なくなってしまうために生じることから、『脳貧血』と呼ばれておりますが、然し、もともと『貧血』と言うのは血液の中の赤血球数、血液中に占める赤血球の容積、および赤血球中のヘモグロビンが正常以下になるような血液の病気であり、簡単に言えば全身の血液が足りないということです。つまり、起立時に脳の血流が減って起こる『脳貧血』と『貧血』は全く別のものです。

低血圧では細い血管の収縮が十分になされず、立って生活していると血液が下半身に溜まってしまい,心臓へ戻る血液量が減って送り出される血液量も減り血圧が低下してしまいます。高齢の方ではもともと血圧の変動が大きく、立ち上がったときに急激に血圧が下がり、眩暈や立ち眩みが生じることが多く、これが転倒骨折につながる危険性が指摘されております。また高血圧の治療のために血圧を下げる薬を服用の方に、起立性低血圧が起こる場合がありますので注意が必要です。

歩行リハビリ中に急激な血圧の低下が何日も続き、療法士が心配して整形外科の主治医へ報告と共に循環器の医師に連絡しておりました。翌日循環器外来から呼び出しがあり、医師は私の過去からの病状を聞き「私が関与することはありません。

整形と内分泌の先生達にお任せ致します」と、あっさり手を引いてしまいました。夜7時ころ内科の主治医が病室を訪れ、「今後歩行器の使用は中止して車椅子を使用して下さい」と言われました。

それは私が抱えている『無痛性心筋梗塞』や『無自覚性低血糖昏睡』に、今回の骨折の原因となった『一過性脳虚血発作』に加えて『脳貧血発作』による、多くのリスクファクターがいつ何処で症状が起こるか判らず、危険を冒してまで自力歩行を認めようとしない内科医の医療心理です。

翌日整形外科の主治医が病室に訪れ、「早期壊死を避けたければ今迄通り歩行リハビリを続けて下さい」と、内科主治医と全く異なる指示に私も戸惑い昨夜の内科医の指示を伝えますと、「カルテに書いてありましたので存じております。

今必要なのは脚力を付けて自分の足で立つたり歩くことで、車椅子の生活をすると今後自分の足で歩くことが出来なくなります」と言われますと、私は整形外科医の指示に従うことが最善と判断しました。整形外科主治医に内科主治医と今後の医療方針について話し合って戴きたいと進言いたしました。

退院後の自宅での医療方針については、医師に任せておく訳にはいかず療法士と相談して、室内移動は歩行器を使用し訪問リハビリの日は療法士が介添えして居住マンションの廊下を軽く散策すること、体調が良くなったら屋外の公園を散策されるのも気晴らしになるでしょうとアドバイスを受けました。

昨年の経験もあり医療機器関連の会社に連絡し、担当者に病院まで来て頂き、室内の段差のバリアーフリー工事(20万円までは介護保険で無料)の手配や、浴室の介助器具である背付シヤワーベンチとバスボードの購入(90%が還元されます)。

更に車椅子と歩行器のリース契約は月額(車椅子700円・歩行器300円)等について、退院即日から生活に支障のないように全て自分で手配を致しました。尚、歩行中の脳貧血発作や、その他のリスクファクター発症時の対策として補助椅子付きの歩行器を使用することにしました。

両医師が私の今後の医療方針につて話し合われたか何の報告もなく疑問ですが、いずれにしても医療の基本である、他科との横の連携が単に入院カルテに書かれた文章だけで全て済まされていることに、本当の医療が行われているのか疑惑を感じるのは、私個人の医療不信だけが原因でしょうか。

多くの方々が不信感を持ちながらもの言えぬ患者として、ただ医師の言われる侭に診療や治療を受け入れておられるのではないでしょうか?これで良いのか私達患者が真剣に考えるなければいけないと思います。

E-mail  takatetu3@ybb.ne.jp
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*


  糖尿病と心の療法  著者 高 橋 高


   

ホームへ