著者からのメッセ−ジ

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「糖尿病を友として」「糖尿病と心の療法」の 

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骨折で得た体験と教訓の報告(其の1)

最初のテーマーとしてなぜ今回大腿部骨折をしたか、その要因から入らなけれ皆様にははご理解していただけないと思います。
骨折と言へば転倒による骨折や交通事故による骨折が最初に思い浮かぶことでしょう。
それが意識障害による失神卒倒によると聞いても、即座に理解できないと思います。

今回の事故には布石があります。6月の初め頃から夜間にトイレに行くと、そので突然意識がなくなり気が付くと倒れております。
この意識のない時間が数分なのか十数分かは判りません。ただ長時間ではないようです。
この様な事態が6月前半だけでも3回も起こり、6月下旬の診療日に内科主治医に状況を報告いたしました。

主治医は7月はじめに検査入院を指示されました。
検査は神経関係と血管関係を主体に行なわれましたが、神経障害については昨年の検査入院の時に『末期的神経障害』と診断されて、外出の際の自力歩行が禁止され車椅子の生活を余儀なくされました。
そのため今回は意識障害の要因となった脳血管に重点が置かれるものと思っておりました。入院日数は16日間でしたが、この間に10数項目の検査が行われ、毎日のように生理検査室に通いました。
然し、この中には脳の血流検査とは関係のない、不要と思われる検査が幾つもあり、何を目的に検査をされているのか、本来ならば標点を絞って重点的に効率良く検査するのが医療の基本であると思うのは、患者の勝手な思い過ごしでしょうか?

問題はこの検査結果の報告です。退院の時の主治医の説明では「検査結果では脳の血流障害になる異常はなく、特に注意すべき点もないので余り気に掛けない方が良いです」とのことで、何も異常を発見することが出来なかったことを露呈しておりました。私はこの診断に納得できず主治医に対する不信感だけがつのりました。

私のホームドクターでありセカンドオピニオンでもある、隣接の病院長宛に意見書を書いて頂きましたが、その内容は「頚椎・胸椎・脳波などの専門的な検査を行いましたが、心配されるような異常はありませんでした。

今後の医療方針についても特に変更の予定はありません」とあり、現実に起きている現象を無視して、検査結果を優先させる診断は、医療倫理を放棄した暴挙ではないかと院長に強く訴えました。
再度卒倒して打ち処が悪く脳挫傷や骨折をしたら、誰が責任を取るのか明確ではありません

院長は私の意見に同調しながらも、宥めるのに大変苦労されておりました。院長の意見として「納得できないのであれば、前の大学病院で納得いくまで検査をしてもらうべきだ」と言われ、患者が主治医に気我ねして納得できない検査結果に同意する必要はないと思います。

全ての医療診断が正しいとは限りません。常に医療には誤診と言う誤りが付いて回ります。特に近年の医療倫理の衰退ぶりは目に余るものがあります。

7月の診療日の2日前に4度目の意識障害で卒倒し、診療日には診察室に家内も同席させて、主治医に私の現在の心情をお話しました。主治医は当初困惑しておりましたが、現実に起きている状態を私に理解させる医療方針がなく、結局大学病院で再検査することに同意しました。

然し、翌日から主治医がお盆休みに入るため、大学病院とのコンタクトは来週早々に行いますと返答され、不本意ながらも了解して来ました。

この直後の7月14日の朝6時20分ころです。トイレに行くためベットから起きて2・3歩踏み出した時に失神卒倒しました。意識が戻り起き上がり家内を呼んでトイレ迄、肩に掴って歩いて行きましたが、トイレを出る時はすでに足は動かず背に負ぶさるようにしてベットに戻りました。この時はすでに骨折をしていることを知りました。

直ぐに救急車を呼ぶべきでしたが、搬送されるのが隣接の救急病院であることは判っており、それならば夜間の当直医(大学病院の派遣医)ではなく、院長に直接診断を受けようと開院時間の9時少し前に119番に連絡しました。この2時間余は痛みと共に今迄のプロセスがが交錯して、何とも遣り切れない気持ちでした。この怒りを何処へ持っていけばよいのか、気持ちが治まらないままに病院に救急搬送されました。

救急病院でのレントゲン撮影の結果やはり右大腿部骨折でした。直ぐに掛っている総合病院へ連絡して緊急転送となりました。この時、院長は診療開始時間が過ぎているのに、私の傍に付いており怒りの気持ちを宥めるように、「釈迦に説法だと思うが主治医と決して争ってはいけない。論争をしても得るものよりも失うものの方が多いことを認識すべきだ」と、私を説得してくださいました。

動脈硬化はひとつの病名ではなく、血管の壁が厚くなったり、内腔が狭く硬くなったりして本来の構造が壊れ、働きが弱くなる病変の総称です。動脈硬化には3種類あります。
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血・一過性虚血発作)。虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)。閉塞性動脈硬化症(下肢末梢動脈)です。

今回は脳卒中の4ッの病状について考えてみたいと思います。『脳梗塞』は更に二つに分類されます。【脳血栓】は脳の血管が動脈硬化を起こして細くなり、血流が途絶える病状です。【脳塞栓】は心臓などで出来た血液の塊が、脳の血管に詰まる病状です。『脳出血』は動脈硬化で脳の血管が脆くなっている時に、血圧が高くなり動脈が破裂して出血する病状です。

『くも膜下出血』は脳を覆っている三ッの膜のうち、くも膜と脳軟膜の間に流れている細い血管で、動脈硬化が起きたり動脈瘤があって、血圧が高くなった時に突然敗れてしまう病状です。『一過性脳虚血症』は動脈硬化のために一時的に脳の血流が流れ難くなる病状で、脳血栓の前兆であるとも言われております。

私の意識障害の原因が『一過性脳虚血症』があることが、今回のRI脳血流(ECD)検査で判り、前回の検査で何らの異常もありませんと診断した主治医は、最も重要なことへ目を向けておらず、安易に一時的な脳の血流障害と判断したのか、又は別の要因を考えていたのか判りませんが、重大事故が起きてから始めて問題の本質を解明しても、既に患者の病状は取り返しのつかない状態に陥っております。

これが今回の骨折の真相です。皆様にとってはまだまだ縁のない病状ですが、医療が進歩している現代においても未解明の問題はまだ数多くあります。特に糖尿病患者の寿命は急激に延びており、病歴30年40年は当り前となxちて来ました。このように病歴の長い患者には私のような病状の方も多くおられると思います。決して私個人の特有の病状でないことは確かです。

然し、私の主治医が病因や医療方針が判らず困惑されたように、多くの医師達も同様に原因の分からない病状の患者を抱えて困惑しておられると思います。原因を解明し治療方針を明確に打ち出した文献がないことです。

同じような症例の患者が幾ら多くいても、この病状を追跡調査して結果を集積し解明する大学病院のような研究機関がなければ、個々の総合病院では医師の負担が大きく、研究論文を書くような医師はおらず、いつ迄も未知の分野として患者を苦しめるだけだと思います。

E-mail  takatetu3@ybb.ne.jp
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  糖尿病と心の療法  著者 高 橋 高


   

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